1
妻の目覚ましアラームの音で目が覚めた。
枕元のiPhoneを手探りで掴みスリープボタンを押すと、ロック画面に数字が浮かぶ。
<3:50>
ん?今朝は少し遅いな。
いつもは3:40にセットされているはずだ。
昨日、寝付けずに10分でも長く寝ようとしたのかも知れない。
妻は自宅近くでパン屋を経営している。
駅から離れた住宅エリアになる小さな店なので、仕込みから焼くまで全て自分一人でやっている。
朝は4時頃から店に入るので、起きるのもこの時間だ。この時期は日が長くなり、朝4時でも明るくなり始めているが、それも一年のうち1、2ヶ月といったところだろう。他は暗い中を自宅から店まで自転車で出勤するので、私も一緒に自転車で店まで送って行くのが習慣だ。
今朝も目覚ましが鳴ってから10分以内に仕度を済ませて、家を出る。
外は小雨だ。
余程雨が酷くない限り、合羽を着て自転車で行く。
店まで送った後、家に戻る途中に急に雨脚が強くなってきた。
朝は走るのやめるか?
自転車を漕ぎながら、迷う。
普段、せっかくこうして早く起きているので、家に戻ってからストレッチをしてランニングをするのを日課にしている。
今日は午後には雨が上がる予報、仕事も遅くなりそうにないので(最近はそう思っていても遅くなってしまうことも多くなったが)、久しぶりに帰ってから走るか。
そう決めて、家に帰って目覚ましをセットしてもう一度布団に入った。
2
今後は自分の目覚ましアラームで目を覚ます。
<5:45>
6:00頃に子供達が起きてくる。その前にワイシャツにアイロンを掛けたかったので、その分の時間をみてアラームをセットしておいた。
アイロン台をセットして、アイロンが温まるのを待っていると、どうも自分が熱っぽい感じがする。
ひょっとして、熱があるか?
そう思うと、今朝、簡単に走るのを諦めてしまったのも、自然と自分のカラダの声を聞いたのかも知れない。
体温計を出して、脇に挟む。
体温計がピピッと電子音がして測定終了を知らせる。
<36.2℃>
…
熱ないじゃん!
サボっただけじゃん!
帰ったら、走れよ!
いや、まあ、本当に熱っぽい感じだったんですけどね。