<前回>
15km手前〜最後の折り返し【さいたま国際マラソン レポート4】 - バーチャルマラソンランナーの走行記 お供はGarmin(「東京ハーフマラソン」改題)
30km少し手前、目の前には東北自動車道を越える立体交差の坂がそびえる。
斜度としては、序盤7km付近の新浦和橋が最大のようだが、既に30km近く走ってきたランナーには、こちらの坂の方が何倍もキツく感じられる。
これを登れば30km地点、ここががんばりどころだ。
苦しいが、ペースは極力落とさないで登り切る。
30km地点のタイムは2:07:03、ペースチャートでは2:07:50なのでクリア。
この後、30kmの壁が立ちはだかることがないように祈る。
☆ ☆ ☆
Aさんは、30km手前の坂を登り30km地点を越えました。
ここまで非常に良いペースでしたが、果たしてよく言われる30kmの壁を無事乗り越えることが出来るのでしょうか?
最近では、30kmの壁というのはエネルギー枯渇が原因というのが定説になっていると言っても良いでしょう。
Aさんもそれを意識してか、所々で所持しているエネルギーを補給しているようです。ただし、途中数カ所あった給水所に用意された補給食には手を伸ばしていません。
自分にあったものを補給したいということでしょうか。
☆ ☆ ☆
30kmを越えて、やはり少しは苦しくなってきた。
これまでほとんど鼻呼吸で行けていたが、段々と口呼吸もするようになってきた。
35km地点。タイム2:27:38、ペースチャート2:28:40。まだタイムは維持している。
どうやら、このままがんばれそうな公算が強くなってきた。
☆ ☆ ☆
30kmから細かなアップダウンが続いています。
一人のランナーが少し先を行くランナーに追いついて、声を掛けています。
「サブスリーおめでとうございます。良かったですね」
「ありがとうございます。やっとですよ。でも、今日は厳しいですね」
「そうですね。でも、まだギリギリなんとかっいけるってところですよ。がんばりましょう」
どうやら、追いつかれた方のランナーが最近どこかのレースでサブスリーを達成したのでしょう。確かに今の位置はギリギリでサブスリーでゴール出来るかどうかのボーダーラインといったところでしょう。
あ、Aさんがその二人を追い越して行きます。
☆ ☆ ☆
国道463号線を離れて右折し、市街地に入って行く。ここからゴールまでは、往路では走っていない道だ。
37kmあたりから、少しペースが落ち始めた。
<残り5km>と、初めて残距離の表示が現れたが、もう呼吸は完全に口呼吸、はぁはぁと息を立てながら、口は半開き、アゴは上がるという状態だ。
両足の拇指球のあたりも豆が出来たように痛み始めた。
これまで滅多に抜かされることはなかったが、数人に抜かれる。
キロ4'15"〜4'20"とペースが落ちているが、上げるのも難しい。
その後、一度、突然左足の足首が固まったように感じた。
え?なんだこれ?足が動かないっていうのはこういうことなのか?
初めて感じた感触だ。
ここまで来てダメなのか?
と、数歩進んだところで急にその感触は去っていった。
???
なんだったんだろう?おそらく足が疲れて踵着地になってしまい、そこに体重が乗って、ブレーキのようになったのだろうか?
せっかくサブスリーで行けると思ったが、そう簡単ではなかったか。と、ちょっと諦めかける。
ん?でも、待てよ。
残り5kmを目標ペースからキロあたり10秒落ちで走っても、5×10で50秒遅くなるだけだ。
ペースチャートでのゴールタイムは2:58:35だから、50秒プラスしてもギリギリでサブスリー達成だ。
そう思うと、一気に楽になり、苦しいもののペースはまた元に戻すことが出来た。
そして、<残り3km>でタイムをチェックすると2:43台。
残りをキロ5分のJOGペースで走ったとしても2:58。
サブスリーでゴール出来る。
残り3kmで確信した。
ただ、時計が狂ってしまっていたら、あるいは自分が計算違いしていたら大変だと、気を緩めることなく、出来るだけ目標ペースで走るように頑張る。
ペースチャートでは最後の0.195kmはキロ3'50"のペースだが、最後のストレートに入っても思ったようにペースを上げる力がない。
ただ、最後のゲート前50mくらいはダッシュするぞ、と走り出したら、右のハムストリングスが攣った。
慌ててダッシュはやめて、ちょっと早いくらいのペースでゴールゲートをくぐる。
GARMINのボタンを押してタイムを確認する。
2:58:22
サブスリー達成だ!
念のためすぐに振り返って、ゲートのタイムを見ても同じ2:58:22だ。
ゴールからほんの少し進んだところで、へたり込む。
そのまま、ずりずりと中央分離帯の縁石のところまで行って腰掛ける。
ちょうど、サブスリーのランナーはどんな感じでゴールして来るんだろうと思ってしばらくゴールを見ていた。
ギリギリ3時間切りは、きっと団子状態で雪崩れ込んでくるのではないかと思ったが、そんなことはなかった。
けど、そのもうちょっと前に「うぉー!」と歓喜の雄叫びをあげてゴールした人がいた。
ほどなく、係りの人にここに留まらないで、進んでくださいと促され、スポーツドリンクをもらって、アリーナの方に進む。
ここで、オールスポーツの方に1枚写真を撮ってもらった。
(ちょうど昨日の夜からオールスポーツの写真が公開されたが、レース中の表情とは違って良い笑顔で写っていた。)
☆ ☆ ☆
Aさんは、なんとかサブスリーを達成出来たようです。
本当に良かった。
まるで自分のことのように嬉しい。
自分のことのように。。。